こちらのセッションのファシリテーターを務めた黒井さんに寄稿いただきました。
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参加者が話したいテーマを挙げ、少人数で対話する参加者主導型の場
CIVICTECHFORUMは、CIVICTECHの最前線で起きていることや、そこから見える風景を知れる絶好の機会です。ただし、それは「知るために知る」のではなく、「よりより社会をカタチにするために知る」というスタンスが大切です。
長い1日の最後のプログラムとして用意したのは「アンカンファレンス(創造的井戸端会議)」。これは講演・セミナーとは違い、参加者が話したいテーマを挙げ、少人数で対話する参加者主導型の場です。
最後のセッションとなり、みなさま疲れているはずが、ものすごい熱気に包まれていました。
▶挙がったテーマ
通路に常設されたテーマボードへ、参加者がアンカンファレンスで話したいテーマを書き込んでいきました。
アンカンファレンスが始まる前に、参加者は自分が話したいテーマのボードの前に集まります。
挙がったテーマは以下の12テーマ。少人数で対話をしてほしかったため、人数が多かったテーマに関しては2チームにわかれていただきました。
・失敗(とにかくやる!)を許す仕組みをローカルに作る術
・コミュニティづくりのためと仕事の両立、時間のやりくりのナレッジを共有したい
・第2回「市民共創知研究会」in対馬
・暮らしたいまちを探せるポータルサイトを作る際にどんな情報をどうやって集めたらよい?
・テクノロジーでデュアルキャリアを実現!
・食卓をあたたかくするためのシェアリングエコノミー
・高齢者を納税者に変える仕組み
・行政もいいけど政治もね シビックテックで何とかならないか
・飼育放棄や迷子、野良のイヌネコの殺処分をなくすために私たちができること
・交流を生み出すツーリズム(国内・訪日)
・まちづくりキャリア
・「住みたい街ランキング」に現実のインフラ(保育園、公園など)中古住宅のavailabilityや、実際住んでみた後の実感に直結する情報を反映させたい!
2017年は2015年よりも対話の時間を長くとり、じっくり話せる設計にしました。そのため、アイデア創発だけでなく「なぜ私たちがこれをやらなくてはならないのか」といった深い動機にアプローチするような対話も生まれていました。例えば以下のような対話です。
・『失敗』の定義とはいったいなんなのか
・そもそも、どんな社会を作り出したいのか
・今の課題の根底にあるものはなにか
・それが求められる理由はなにか
最後には、テーマを挙げた人(テーマホルダー)が「対話を通じて得た気づき」「前に進めるために踏む次の一歩」などについてグループのメンバーに話し、ほかの参加者は自分ができる貢献をカードに書いてテーマホルダーへギフトして終了しました。
▶未来の事例のファーストステップを創る場!?
アンカンファレンスは、話すという行為を通じて自分の内発的動機を探って行動のきっかけをつくります。また、同じテーマで語れる仲間ができることもメリットです。一人では始めにくく不安だったとしても、誰かが共感してくれたりサポートに手を挙げてくれたりすると、小さな一歩を踏み出すことができます。アンカンファレンスは、過去の事例ではなく未来の事例のファーストステップを創る場。
2015年のアンカンファレンスでは、「TKM47」という"平時からの全国のつながりが、いざという時に役にたつのではないか" というグループ構想がはじめて話され、仲間集めをする場となったり、「Code for Cat」という猫の問題を解決するグループが生まれました。そして、それらは現在も継続して活動されています。
来年、再来年にCIVICTECHFORUMで登壇するグループが出てくるかもしれません。
著者プロフィール:黒井理恵
北海道名寄市在住。東京と北海道をつなげる(株)DKdo代表取締役。北海道の課題を東京在住の北海道出身者が解決する「北海道DAY」プロジェクトを運営。2014年に東京からUターンし、地元でコミュニティスペースも運営。市民対話の場づくりなどファシリテーターとしても活動中。