2015年、2016年と東京で開催してきた「CIVICTECHFORUM」ですが、今年は他の地域でも開催します!
・7/23(土) CIVICTECHFORUM東海 名古屋市にて開催
・8/06(土) CIVICTECHFORUM九州 久留米市にて開催
ローカル版はCivicWaveも共催として関わり、いろいろとお手伝いしております。
ローカルでCIVICTECHFORUMを開催するにあたり、周りの方に声をかける際に一番最初の壁となるのは
「シビックテックって何?」
という質問です。(※実は東京でも、同様なのですが...)
各地で活動している方々に、どのように説明しているのか?をヒアリングしたところ、教えてもらったのがこちらです。
「シビックテック」とは...です。と、最初にたくさん説明しないこと
「シビックテック」とか、「市民とテクノロジー」とか、「ITで課題解決」とか、「市民活動」といった言葉を使うと、「難しそう」「意識高そう」といった印象を与えがちです。
行政の方に限っては、「プロ市民の方に責められないか?」という不安がよぎる方もいるそうです。
シビックテックのイベントは、苦情を言う会ではありません。
口を動かす(議論)だけでなく、自分たちの住んでいる社会を少しでも良くするために、自分たちで手を動かし、足を動かし、頭を動かす市民の活動であり、そんな活動に参加したいと思う人達が集う会だと思っています。
それを理解いただくためには、具体例をあげて説明し、最後にそっと「これがシビックテックです」と添えるといいとの意見がありました。
例えばこんな感じ。
インターネットの便利なサービスが増えて、住んでいる地域や身の回りの困り事を解決する手段として使いやすくなってきています。そして、「自分たちで何かやってみよう!」と思う人や企業が増えてきています。
例えばこんな課題を解決しようとこんなサービスが作られています。・・・(サービス事例を説明)
これらのサービスがシビックテックといわれるものです。
もしくは、シビックテックについて軽く説明してから、事例中心に説明するなどです。
「地域にある様々な課題をITを使ってみんなで解決できないかという取り組みがシビックテックと呼ばれるものです。例えば、ゴミをいつ捨てればいいかわかりにくいですよね?そんな課題を解決したくて5374.jpというアプリが市民団体によって作られました。5374とは...」
重要なのは、イメージしやすい具体例を話すこと!
その際の説明でわかりやすいサービス事例は、大きなテーマというよりも、身近な問題を取り扱っている事例の方がわかりやすいようです。
▶シビックテックサービス事例
活動しているみなさまに、説明の際に事例としてよく取り上げるサービスをヒアリングしたので、それを紹介したいと思います。
・5374.jp・・・「いつ、どのゴミが収集されているのか?」がひと目で分かるアプリ
・さっぽろ保育園マップ・・・札幌市内の保育園・幼稚園の様々な情報を地図で可視化
・PM2.5ダイヤル・・・市内の最新の PM2.5 測定値と当日の予測情報を自動音声でお知らせ
海外のほうが事例は多く、実績もだしているので、海外サービスを説明してもいいかもしれません。
ヒアリングした中では、こちらのサービスがわかってもらいやすいという意見がでました。
・TextMyBus・・・おおよその住所や交差点名を入力すると、近くのバス停名と運行情報をSMSで通知
・Adopt-a-Hydrant・・・GPS情報を頼りに、雪の中から消火栓を掘り出すゲームアプリ
これらは、いずれもテクノロジーを活用して、市民の課題を解決しているものになります。
「5374.jp」や「さっぽろ保育園マップ」は、自分たち(市民)が欲しいと思ったサービスを自分たち(市民)で作ったサービスです。各地のエンジニアたちも自分たちで作れるようオープンソースで公開しており、全国で横展開されています。
「PM2.5ダイヤル」や、「TextMyBus」は、シンプルな操作で、市民が誰でも利用できるような工夫がされています。インターネットで公開している情報をネット環境がない方でも電話で知ることができたり、交差点名などを入力すればSMSでバスの運行情報を教えてくれます。
「Adopt-a-Hydrant」は、消火栓が雪に埋もれて場所がわからなくなるという課題を、ゲーミフィケーションを利用して、市民に手伝ってもらう工夫をしているサービスです。
シビックテックはとても多様です。ビジネスのような側面、オープンデータの側面などもあるため、一度に説明するのは難しいかと思います。
本質的な部分である「テクノロジーを用いて地域や社会の課題を解決する」というところをまずきちんと話すためにも、生活に密着している問題を解決している上記の事例はわかりやすいかもしれませんね。
それぞれのサービス詳細や、上記以外の事例はこちらを参照ください。(徐々に追加中)
→日本のシビックテック事例|海外のシビックテック事例
また、イベントを立ち上げたら、参加者の方とコミュニケーションを取れる場で、イベント前に事例を適度な頻度で提供していくことも、理解いただくための有効な手段かもしれません。
イベントページで、事例を毎日紹介している「Code for Matsudo」の東さんのイベント運営は、とても参考になるので、ご紹介します。
→7/17(日)開催イベント:【誰でも参加OK】Code for Matsudoをはじめよう
▶CIVICTECHFORUMとは
「CIVICTECHFORUM(以下CTF)」とは、テクノロジーを利用して、地域や社会の課題を自分たちも一緒に解決していく活動(シビックテック)の未来について語るイベントです。
第1回目となる昨年は、「公共とITの新しい関係」というテーマで、シビックテックの可能性と課題について触れました。また、ローカルコミュニティの歴史や、公共サービスの隙間を埋めるべく活躍しているシビックテックの事例を知ると同時に、ビジネスの側面から取り組むシビックテックのあり方や、それらの支援環境などのディスカッションもされました。 →CTF2015の記事一覧
第2回目となった今年は、最初の開催から1年が経ち、様々なシビックテックが引き続き実践されている中で、「ローカル」におけるシビックテックのあり方や、「ビジネス」のおけるシビックテックのあり方について言及し、一定の認識が共有されました。 →CTF2016の記事一覧
東京で2度開催されましたが、CTF運営委員はある違和感をもっていたそうです。
シビックテックの現場は各地域である。東京だけで開催していても、現場の活動の役には立たないかもしれない
そして今回、開催を希望した地域の方が実行委員長となり、名古屋と久留米での開催が決まりました。
・7/23(土) CIVICTECHFORUM東海 名古屋市にて開催
・8/06(土) CIVICTECHFORUM九州 久留米市にて開催
プログラム内容は各地域の希望により組み立てられたため、地域により異なっています。
例えば、東海はエンジニアの方も多いとのことで、午前中にハンズオンセミナー(cartoDB|Bluemix)がプログラムに組み込まれています。
ただ両地域に共通するプログラムは、以下3点です。
・シビックテックについての概要
・具体的な活動事例
・その地域で活動している団体の発表の場
そのため、東京で2回にわたり開催してきた内容をふまえ、昨年のCTFの実行委員長でもある柴田さんにシビックテックの概要をお話いただき、具体的な活動事例に関しては、日本ではじめてCodeforを立ち上げたCode for Kanazawaの代表理事である福島さんにお話いただく構成になっています。
そして、各地の団体のLT(ライトニングトーク)も複数予定しております。
こんな活動に少しでも興味のある方は、イベントに参加して、発表される活動者の方々と対話しにきてください。近くで活動している人が一堂に会する機会はそんなに多くないはずです。
この機会をお見逃しなく!
そして、CivicWaveの運営メンバーも多く参加するので、私達とも情報交換しましょう。
<Special Thanks>
今回の記事は、以下のみなさまのご意見を元に作成しております
・Code for Ibaraki 佐藤さん、柴田さん
・鹿児島県肝付町役場 中窪さん
・Code for Kanazawa 福島さん
・Code for Tokushima 坂東さん
・Code for Sapporo 川人さん
・オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパン事務局長/Code for Matsudo 東さん
・オープン川崎/Code for Kawasaki 小俣さん、牧さん
・LOCAL GOOD FUKUOKA/Code for Fukuoka 村上さん
━━蛇足(めんどくさいこというよ)━━━━━━
この記事を何度も読んで思ったんですが、アプリを作るなど、コーディングしなければいけないシビックテック事例ばかりあげてしまいましたが、もっともっと身近なシビックテックもありますよね。
例えば、自治会の会計報告をExcelでまとめてあげるのだって、一つのシビックテックだと思っています。友人が、家計簿をExcelでつける勉強会をママたちに教えていましたがそれだってシビックテック。
基本機能を覚えた上級者に「VLOOKUP」を教えてたら、すごく感動されていたのを覚えています。
インターネットを身近に感じていない方たちには、自分のしたことが世界に発信できていると実感できるだけでも大きな感動を覚えてくれます。
マッピングパーティで自分たちが歩いて調べたことが、インターネットで全世界に発信されていることを実感すると、徐々に発信の楽しさを覚えるそうです。
発信したことに、レスがあったら、またはまりそうですよね。
そして、インターネットでのコミュニケーションを覚えたら...例えば、孤独という問題を解決できるかもしれないですよね?
同じ趣味の人と出会え、人生の楽しみが増えるかもしれないですよね?
<7/11追記>
ツールやサービスを活用するシビックテック活動事例の記事:街歩きイベント「ウィキペディアタウン」」
著者プロフィール:鈴木まなみ(@rin2tree)
CivicWave運営メンバーの一人。
2歩先の未来をよむブログメディア「TheWave」の湯川塾の事務局を務め、テクノロジーの最新動向をウォッチしながら、コミュニティ運営や執筆活動中。
また、MashupAwards8〜11の事務局を務め、内外のコミュニケーション全般を担当。