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田舎にこそ電子行政を!

ランチタイムでは、CIVICTECHFORUMのセッション枠で紹介しきれないサービスや事例が、ライトニングトーク形式で矢継ぎ早に発表されました。
個人でできるサービス事例として学生が発表していたり、地域で活動しているNPOの方が発表していたり、企業活動としてのシビックテック活動の発表もあったり。
何よりインパクトがあったのは、行政アーティストと名乗る公務員の登場でした。
そんな多様性溢れる事例LT(ライトニングトーク)は、テーマをもった他のセッションをも上回る面白さだったのではないでしょうか。


セッションの背景

今回の「CIVIC TECH FORUM 2017」を開催するにあたり、紹介したい事例は山ほどありましたが、時間やテーマの関係上、全てを紹介することはできません。
そこで、5分という短い時間ではあるものの、多くの事例を紹介したいという想いを込めて、こちらのセッションが組まれました。発表されたのは、こちらの8本です。

  崟験茲筏離と人と時間と」電子行政が田舎でも必要なワケ
 ┗山形巧哉氏(行政アーティスト/ハウモリ Feat.CfS) 
 のとノットアローン
 ┗山上 幸美氏(のとノットアローン・エリアマネージャー)
 ディスレクシアの方のためのオンライン動画字幕読み上げシステム
 ┗應武双葉氏(津田塾大学大学院)
 PARKFUL | オープンデータから始まる、みんなの公園プロジェクト
 ┗椛田泰行氏(株式会社コトラボ CEO 1/2)
 4919 for Ikoma
 ┗河中 祥吾氏(奈良先端科学技術大学院大学)
 Δ泙ないめしとGITHUB
 ┗畑中祐美子氏(NPO法人びーのびーの)   
 Дープンデータを利用した課題解決型プログラミング学習
 ┗山脇智志氏(キャスタリア株式会社)
 ペライチ|誰もが気軽にWEBで情報発信できる社会
 ┗藤田彩月氏(株式会社ホットスタートアップ)


行政アーティスト

 崟験茲筏離と人と時間と」電子行政が田舎でも必要なワケ/山形巧哉氏(行政アーティストなど) 
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「電子行政なんて都会の話だよ。田舎にはそぐわない」とよく言われるけれど、「田舎にこそ電子行政が必要」というお話。発表は北海道茅部郡森町の公務員の山形氏。→発表内容(とほぼ同じ資料)。

街を愛しているけれど、森街の生活は函館中心。車での移動が中心で、公共交通期間での移動はほぼありません。街へのバスは8時間に1本。同じ距離を移動するにも、東京は数10分でいける距離が、森町では8時間かかることもあります。物理距離が同じでも、時間距離は全然違います。車に乗れないおばあちゃんは醤油1本その日のうちに買えないのが現実です。
それは、田舎の行政がなにもしていないからなのか?森町と千代田区を比較すると、人口差は3倍差、歳出予算は5倍差です。しかし、対住民コスト(住民一人あたりへの歳出、職員一人あたりの対応住民数)はあまり差がありません。人口比から見ると、むしろ田舎の行政のほうががんばっているんです。

ここで大切なのは、都会だから田舎だからということではなく、行政運営はどこも同じぐらいコストがかかるということ。なのになぜ田舎のほうが不便なのか?それは、物理距離と時間距離にほかなりません。
しかし、今の時代は、買い物はネットで購入することができます。それは全国に一瞬で移動しているということ。ネットは道路。実生活ではネット道路の活用が進んでいますが、行政はまだ物理道路を使っています。人は減る。管理範囲も変わらない。でも住みたい!それは街を愛しているからです。
であれば、物理にこだわる必要はありません。電子化すれば効率化と利便性が明らかに増します。だからこそ心から主張します。
田舎にこそ電子行政を!ネットは道路なので、我々行政職員も、電子行政を推し進めて行かなければならない!

昨年のCTF2016での事例紹介は4つあり、うち3つが行政職員でした。今回の事例紹介での行政枠はこの行政アーティストのみ!でした。しかし、一番インパクトがあったように思います。


個人でできるサービス代表(学生代表)

ディスレクシアの方のためのオンライン動画字幕読み上げシステム/應武双葉氏(津田塾大学院)
4919 for Ikoma/河中 祥吾氏(奈良先端科学技術大学院大学)
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ディスレクシアの方のためのオンライン動画字幕読み上げシステム」は日本最大級のアプリ開発コンテストMashupAwardsのシビックテック部門賞を獲得した作品。
「ディスレクシア」とは、難読症、識字症などの、文字の読み書きに困難がある障害のことで、症状の例としては、文字が逆さ文字に見える、文字がぼやける、など。学習障害の4.5%が該当すると言われています。そんな方でもYoutube動画を楽しめるような「字幕を人口音声で読み上げてみるシステム」についてのプレゼンです。

そして、「4919 for Ikoma」は奈良県生駒市で行われた「CIVICTECHaward」大賞作品です。このアプリは、「給食のアレルゲン管理と食育をサポートする」というテーマで開発されたアプリ。今はアレルゲン情報を献立カレンダー内で見るだけですが、現在、事前に登録しておいたアレルゲンが含まれる日は通知が来る機能を実装中とのこと。また、将来的には、教員がクラス単位で生徒のアレルギー状態を管理する機能などもしていきたいそうです。

学生がこういったアプリ開発コンテストに応募し、発表し、多くのシビックテック関係者の前で話し、つながっていく未来に、期待してしまうというか、なんだか嬉しさを感じます。

それぞれ、CivicWaveで取り上げておりますので、詳細はそちらをご覧ください。
 ・「ディスレクシアの方のためのオンライン動画字幕読み上げシステム」の記事
 ・「4919 for Ikoma」の記事 | 発表資料


地域活動代表

△里肇離奪肇▲蹇璽/山上 幸美氏(のとノットアローン・エリアマネージャー)
Δ泙ないめしとGITHUB/畑中祐美子氏(NPO法人びーのびーの)
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のとノットアローン」は、過疎地でもある奥能登4市町の子育て世代に向けた情報発信&場のサイト。今では利用しているママたちから「なくては困る」といわれ、すごく反響をもらっているそうです。
こちらの作品は、オープンデータコンテストでもある、UDCのアクティブ部門賞を獲得した活動。また、MashupAwardsのシビックテック部門賞3位の作品でもあります。

畑中氏からは、区役所と一緒にオープンデータを活用した子育て情報サービスを検討するプロジェクトについてのお話です。いまは、Code for Kohokuの活動の一つでもあるそうです。
横浜市港北区の課題の一つは、転入転出者が多く、そのほとんどが子育て世代(核家族+共働き)。引っ越しや親になるなど、人間関係が激変する中で、子育て情報が全然入ってこないということです。
とにかく情報がバラバラで、子育て支援所に行かなければわからないという問題を解決するためにも、子育て支援アプリが必要で、最初は誰かに作ってもらおうと考えていました。
しかし、システム業者とのトラブルもあり、今は、まかないめしを食べながら、GITHUBの勉強をし、自分たちで作ろうとがんばっているそうです。


民間企業代表

PARKFUL|オープンデータから始まる、みんなの公園プロジェクト/椛田泰行氏(株式会社コトラボCEO 1/2)
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PARKFUL」は日本全国の11万件の公園情報を提供しているアプリ。公園を使う前にもっと知ってもらおうと2014年にローンチしたサービスです。
社員5人の会社なので、全国の公園データを集めるのは大変。利用者の皆様やいろいろな方と一緒に公園データベースを作り上げています。昨年の11月には、神奈川県の県庁と協定をむすび、神奈川県のデータを徹底的に充実すべく活動しています。
また、今あるデータには「愛」が足りないと思っており、役所のデータもマネジメント中心のデータ。愛をいれないとアプリは育っていかないと感じているとのこと。そこで、「PARKFUL」では、フォトコンテストを毎月徹底的に行い、愛を注入しています。
「PARKFUL」はPARK First!(公園ありき)で、オープンデータ(役所のデータだけでなく、みなさまと協力して作ったデータ)を活用し、賑やかな公園づくりをしていきたい!と活動しているそうです。

公園は、子どもたちの遊び場や親同士の交流の場だけでなく、災害時には避難所になり、地域にとって大切な役割を担う場所です。そうした開かれた地域の拠点である公園が、より活用され賑わうことで、地域のコミュニティや街全体の賑わいへとつながるのではないでしょうか。


Дープンデータを利用した課題解決型プログラミング学習/山脇智志氏(キャスタリア株式会社)
┘撻薀ぅ繊鍛もが気軽にWEBで情報発信できる社会/藤田彩月氏(株式会社ホットスタートアップ)
20170325-76 20170325-79

山脇氏からは、オープンデータを教材に、地域社会を考え、関係を持ち、興味をもてるようなプログラミング教育を行い、エントリーレベルから入ることのできるエンジニアコミュニティを作っていく取り組みのお話です。
プログラミングって誰が教えるんだよ!問題を解決する、プログラミング教育指導者を養成する履修講座「CodeEdu」の活動の中で、オープンデータの活用を考えていたとのこと。
また一方で、長野県で定期的に行ったIT勉強会で得た体験から、コミュニティの大切さを感じており、そんな時、会津大学の藤井先生の記事を見つけ会いに行ったそうです。そのことをきっかけに、会津で中高向けのプログラミング教育を2017年4月から始めることになりました。

ペライチ」は、誰でも簡単に全デバイス対応のWEBページを作れるサービス。お金をかけず、難しい知識なしで情報発信を簡単にすることができます。

情報発信は、時間と場所を超えていろんな人と繋がれるきっかけになるはず。人とつながるとチャンスがやってきます。山脇氏の取り組みも、記事との出会いがきっかけとのこと。CivicWaveとしてもいろんな地域の活動を発信していきたいですが、ペライチやJimdoなどのサービスを利用すれば、誰でも簡単に情報発信ができる時代です。活動している人達自ら発信していくことも、とても大切なことだと思っています。


講演のつぶやきまとめはこちらから。臨場感あるので別の角度から講演を知ることができます。
togetter(ランチを食べながら聞く事例LT)



グラフィックレコーディング


こちらの講演のグラレコ(by ナカムラカナコさん&そうとめよしえさん)です。
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講演動画


ご興味をもってくださった方は、記事にしきれなかった部分もありますので、是非講演もご覧ください。






著者プロフィール:鈴木まなみ(@rin2tree
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CivicWave運営メンバーの一人。
2歩先の未来をよむブログメディア「TheWave」の湯川塾の事務局を務め、テクノロジーの最新動向をウォッチしながら、コミュニティ運営や執筆活動中。
また、MashupAwards8〜11の事務局を務め、内外のコミュニケーション全般を担当。