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日本と違い政治よりな話題が多く、首相もシビックテックカンファレンスに登壇する台湾

2015年5月に、台湾でアジア最大級のシビックテックに関するカンファレンスG0V summit 2016(ガブゼロサミット)が開催されました。今回は、このイベントに参加してきた3名による報告会のレポートです。

「G0V summit 2016」の主催である「g0v(零時政府)」は、台湾におけるオープンデータやオープンガバメント普及に貢献してきた構成員1000名を超えるオンラインコミュニティです。

日本は、英語能力が低いせいもあるのか、海外の動きに疎いです。
そのため、こうやって海外カンファレンスに参加された方が、日本語で肌感覚を伝えてくれる報告会はとても貴重だと思っています。(その前にもっと英語勉強しろって話ですが...)

特に、海外からの潮流を重視する割に、それが広がった背景などを知らず、自分達にいいように捉えがちです。「シビックテック」や「オープンデータ」という言葉もそれらの一つなのではないかと少し思っています。

今回の参加者の中でこんなコメントがありました。
日本では、どうしてもオープン「データ」が先行しがちですが、g0vでは、オープンガバメントのためのツールや政治参加のCivicTechが大原則な印象でデータは手段なのだろうな...

シビックテックはその土地その土地の特性があるため、同じということはないと思っています。日本には日本の、台湾には台湾の、米国には米国にあったやり方などがあると思います。

しかし、今回台湾でのカンファレンスの話を聞いて、物事を本質的に判断するためにも、井の中の蛙にならないように、視野は広くし、情報交換や、コミュニケーションは大切と改めて感じました。
是非、海外の動向についても興味をもち、様々なところから学んでいき、活動に活かしていただけたらと思います。


国際的カンファレンスの意気込みを感じた「g0v」/柴田重臣氏

まずはじめに、「g0v summit 2016」で日本代表として登壇したCode for Ibarakiの柴田氏による、「g0v summit 2016」の概要紹介からはじまりました。(G0V登壇動画は最後にあるよ)
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「g0v summit 2016」はアジア最大級のシビックテックに関するカンファレンス。
国際的なシビックテックに特化したカンファレンスとしては、アメリカの「Code for America Summit」や、スペインの「The Impacts of Civic Technology Conference 2016」などありますが、この「g0v summit 2016」もそのうちの一つで、今回は2年ぶりの2回目の開催です。

主催者である「g0v(零時政府)」は、行政や政治に関しての怒りや疑問ではじまっているため、政治よりな話題が多かったそうです。「g0v」の背景などについてはこちらを参照いただくとより理解できるかと思います。→情報を持つネット市民による参加型の自治を目指す市民運動"g0v"の背景や歴史について

<g0v summit 2016のプログラム構成>
 .ーノート:2本
 ∩澗旅岷蕁6本(メイン舞台だがキーノートとは別、台湾首相も入っていた)
 8鎚魅札奪轡腑鵝39本(そのうちの一つで柴田さんが登壇)
 ぅ▲鵐ンファレンス:60分2枠×16本
 ゥ薀ぅ肇縫鵐哀函璽:12本×3分(そのうちの一つで大山さんの会社が登壇)

参加者は、スタッフなども合わせると1,000人ほど。
講演者数は約60名で、初日は台湾以外の方が割合が多いぐらい国際色豊かなバリエーション。
リトアニアやオーストラリア、インドネシア、香港、韓国、日本などなど。
そして、国際的カンファレンスの意気込みを感じたのが、全講演中英同時通訳の提供。
通訳は全員ボランティア(学生中心)なため、クオリティはまちまちでしたが、キーノートや全体講演だけでなく、個別セッションなどもすべて同時通訳ありとのことでした。

部屋は3部屋あり、一番大きな部屋「R0」が真ん中にあり、両横に「R1」「R2」と並び、それぞれ以下のようにわかれていたそうです。
 「R0」:政治、選挙的な話、どうやってシビックテックに関わっていくのかという話
 「R1」:コミュニティよりな話
 「R2」:それ以外の技術的な話や災害対策の話など

キーノートや全体講演の登壇者や、g0vで話された9つのテーマなどの説明もありましたが、下のスライドを参照ください。(全画面表示にして見てください)


<印象に残った言葉>
柴田さんのお話の中で、印象的だったことをまとめてみました。
●全講演すべてを英語で理解してもらおうという心意気に、国際的カンファレンスの意気込みを感じた
●ライトニングトークで話している人のトークが個別セッションとして取り上げてもおかしくないレベルで、台湾のシビックテックの層の厚さを感じた
●日本のシビックテック団体は政治と距離をおいてニュートラルにやろうとするけれど、台湾は行政や政治に関しての怒りや疑問ではじまっているので、政治よりの部分が厚い感じ
首相が登壇され、参加者の人ともフレンドリーすぎて「大丈夫か?!」っと思ったレベル
●参加してた台湾の学生に参加の利用を聞いたら「オープンソースのヒーローに近づいたらシビックテックにたどりついた」と言っていた
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グラレコ by Miki Kobari


民がデータをつくり、サイクルをまわしている台湾のオープンデータ/飯田哲氏

JIPDECの飯田氏からは、主に台湾のオープンデータ関連についてお話いただきました。
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<官からのオープンデータ>
台湾は、オープンであることが重要な項目を対象に毎年行われる調査である、GlobalOpenDataIndexで、英国を抜き世界ナンバーワンになりました。首相は元Googleアジアのトップでもあり、オープンデータは国家開発委員会が主導しています。
台湾のデータポータルはCKANで作成。公益事業、学校、行政法人などもスコープに入っているのはすばらしい点です。
オープンデータの利活用は大きく収益追求型(Business)と社会貢献型(Social)に分けられ、オープンデータアライアンスが収益追求型を、行政やg0vが社会貢献型をサポートしているそうです。

<民からのオープンデータ>
ボランティアによる情報収集コミュニティの育成が発達しており、何をしているかというと、ずばり「スクレイピング」。自分たちの欲しいDataを好きなタイミングで出してくれるわけがないから、自分達でできるところは作っているそう。(例:議会の議事録情報)
ただ、スクレイピングでデータ・セットを作成し、公開する際には以下の問題があります。
 1.著作権(収集後データの公開)
 2.データカラムの統一(標準化)
著作権に関しては、OpenDataや、政府標準利用規約にしていくことが一つの解。
データカラムの統一に関しては、既存標準ではなく、自分たちでデータを作って世間に提示し、フィードバックをもらい、対話の上でともに作っていく。というのが一つの解。

スクレイピングは日本でも活用されはじめているとのこと。
Yahoo!から神戸市にCorporateFellowshipに派遣された方は、3ヶ月間の作業のひとつとして、行政のページをひたすらスクレイピングし、URLのリンク切れ調査や、構造化の状況把握などしたそうです。そういった利用の仕方としてもスクレイピングは有効と言えます。


<g0vのすごいところ>
g0vについて感動されていたところをまとめてみました。
●「オープンデータ=官からのデータ」と思う人は多いかもしれないけれど、民がデータをつくりサイクルを回せているところ
政府の人もたくさん参加している(首相が登壇したから無理矢理かもしれないが...)
 ※米国では、シビックテックの弱い部分は「行政|議会|選挙」といわれていた
オープンソース開発者が4割参加していた印象(これは日本では考えられない)
複数人によるドキュメンテーションがすぐに作成され、振り返りや、その場にいない人への情報共有がきちんとされている(hackpadを使いこなし、災害発生時には必要な情報をまとめる運用が既に出来ている)
●g0vは、政治への「怒り」から始まっていたけれど、それでは共感を得ることができなかった教訓から、「笑い」と「会話」を取り入れていることも素晴らしいが、それを表明できる「場」があること
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グラレコ by Miki Kobari

こちらも発表スライドいただきました!


日本で「街を良くしていくため」には、民間企業こそが元気にならないとだめ/大山氏

次に、「g0v」に参加して何を感じ、どう変わったのか?を神戸でスタートアップしている大山氏からお話いただきました。
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<参加した印象>
街は、日本より多様性があり、活気あふれ、人懐っこい雰囲気。
カンファレンスでは、世界と対話する準備が出来ている、そんな雰囲気を感じたとのこと。
政治から社会を変えていこうという人が多く、カンファレンスで見聞きしたツールも政治に関わるツールが多く、いくつかご紹介いただきました。
●候補者選びをサポートするサイト「voxe.org
┗政治立候補者の情報キュレーションメディアをスタートアップが運営
●マドリードのオープンコラボレーション促進サイト「decide.madrid.es

日本でシビックテックというと「自分が困っていることを自分達でなんとかしようね!」という印象が強いが、それは日本だけなんだなーと感じたそうです。


<参加して感じ、行動したこと>
日本と世界の違いはなんだろう?と考え、
「世界は ”自分達の街や社会を良くしていきたい” というプリミティブな想いの結果、いろいろ変えるには政治に関与することが手っ取り早いため、政治に関わるツールが多いのではないだろうか?」
と思ったとのこと。

一方、日本は比較的安定していており、政治まで関与する必然性は低く、それなりな生活ができています。そんな日本で ”自分達の街を良くしていくため” に「地方のスタートアップ経営者として何をすべきか?」を強く考えさせられ、大山氏のだした結論はこちらになります
「地元の企業がしっかりしないとだめだよね(大山氏)」

日本で「街を良くしていくため」には、「地元の民間企業こそが元気にならないとだめだよね」という意識を強くし、事業にフォーカスするためにCode for Kobeの代表をやめたそうです。

それは、4月に金沢で実施された「CivicTechMeetup 2016 Kanazawa」のワークショップで、「これからのシビックテックはどうあるべきか?」を話し合ったことも影響しているとのこと。金沢では、
「助成金や行政に頼るのではなく、自分達でお金を稼いでいく仕組みづくりが必要なのではないか?稼ぎながら継続した課題解決を仕組みをつくることこそ大事」
という話し合いがされたようです。
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グラレコ by Miki Kobari

大山氏の考えは、こちらの記事「地域が儲ける仕組みをめざす会津」にも通じるものがありますね。

スライド資料いただきました。


質疑応答

3名の発表が終わったら、あとは参加者の方からの質疑です。
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印象に残った言葉をいくつか
●政治に対して意識が高いので、いろいろ市民が勉強していると感じた。少子高齢化の情報なども知っていた。日本のこともよく知っている。日本は台湾のことすら知らないのは恥ずかしい。(柴田氏)
●Q:圧倒的に感じた国民性の違いは?
 →ハングリーだ。自分の暮らしや家族を良くするために自分が行動する意思を持つ(大山氏)
 →コミュニケーションの距離が近い。例えば英語できるシールなど(飯田氏)
 →自分たちは100年程度しか歴史がない国だから、なんでもチャレンジできる雰囲気(柴田氏)
 →国土が小さいので、都知事を決めるぐらいの身近さで大統領を選ぶ。1票の重みが強い(飯田氏)
●Q:台湾におけるベンチャーのビジネスマッチングの場などあったのか→なかった(大山氏)
●住民の意思決定を明示する仕組みを政府が採用し、意見を抽出できるようになっている(柴田氏)
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グラレコ by Miki Kobari

質疑応答が終わった後は、フリーディスカッションだったのですが、いろいろなところで盛り上がっていました。
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当日のつぶやきや写真をみていただくと、イベントの雰囲気などもわかるとおもいます!
●togetter(つぶやき)→http://togetter.com/li/982910
●flickr(写真)→https://www.flickr.com/photos/142066247@N06/albums/72157668824281681


<イベント告知>
6月頭には、米国でテクノロジーと政治・行政に関する国際会議「Personal Democracy Forum 2016」が開催されていました。こちらのイベントもシビックテックと関わる点が多いイベントです。
そのイベント参加者による報告会イベントが7月6日(水)にあるそうなので、是非そちらにも足を運んでみてください。


━━蛇足(めんどくさいこというよ)━━━━━━
実は今回はイベントはじめからビールとお菓子が配布されました!提供はリクルートさんから!(ありがとうございます)
毎回こんなふうに無償でご提供できないので、次のイベントでもビールなどを少し提供できるように、飲み食いされたみなさまから寄付を頂く形にしました。
みなさま、ご協力ありがとうございました。次回のCivicWave主催イベントで利用させていただきます。

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CivicWaveのイベントは誰でも気軽に参加してもらえる「井戸端」的なイベントを心がけています。
ただ、ボランティア運営のため、みなさまの協力を求めています。
参加されたみなさまは、是非是非Twitterでの中継協力をいただけると助かります。
今回多くの人につぶやいて頂き、とても助かりました。ありがとうございます。

Twitterでの発信は、リアルタイムで参加できない人に伝わるとともに、同じ興味の人とつながれる一つのきっかけになるはずです。
また、イベントは出来る限り今回のようにブログにまとめ、公開していきたいとおもっていますので、作成の際にとても助かります。
そして、Miki Kobariさんにグラレコも書いていだだき、本当うれしい限りです。(thxです!)

ITのいいところの一つは、時間と場所を超えられることだと思っています。
そのため、可能な限り、ログとして残していきたいと思っています。


最後に、今回お話してくださった柴田さんの「G0V summit」登壇の勇姿を見たい方はこちらから!
(ただし最初は接続チェックに時間がかかっているので7:20〜みるのをおすすめします)


ちなみに、他の講演も全て見られます。このログ化、素晴らしいですね。
https://www.youtube.com/user/g0vTW