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CivicTech Meets MA

こんにちは、Code for Kanazawaの福島です。

この記事は、MashupAwardsをテーマにした「MashupAwards Advent Calendar 2017」企画の3日目の原稿です。他の記事はhttps://qiita.com/advent-calendar/2017/mashupawardsの一覧から見れるようになっており、日ごとに記事が増えていく予定です。
ぜひ、ご覧ください。

MAと出会った2015年

MashupAwards(以下、MA)は2006年に始まった日本最大級の開発コンテストで今年で13回目。こういった世界においては十分に老舗だと思いますし、まだサラリーマンだった僕自身も初回の時点でMAの存在を知っていました。
でも、その後、石川県内ではMAのハッカソンやイベントなどが開催されることはなく、「お隣の福井では活発だなぁ。すごいなぁ」という感じ。正直、ちょっと遠い存在でした。

それが変わったのは2015年。ちょうどその2年前、Code for Kanazawaという団体を立ち上げ、シビックテックという活動を続けていたときでした。
たまたま石川県でMAのハッカソンを開催する話が出て、それならと現地のコーディネートをさせて頂いて、「「新幹線開通×CIVICTECH」創ろう未来の北陸!!〜 Mashup Awards Hackathon with Students 金沢編〜 #MA11」(北陸先端科学技術大学院大学、一般社団法人コード・フォー・カナザワ、MashupAwards運営委員会の三者共催)が実現しました。

テーマは「シビックテック」、ちょうど金沢は待ちに待った新幹線が開通したばかりでした。

"2015年3月に開通をした北陸新幹線。1日平均の乗車人数は2万6000人、土日は2万7000〜3万人(2015年5月時点)となり、2015年4月の延べ乗車数は68万6千人(北陸と上越新幹線の駅を結んだ在来線特急の前年実績に比べてそれぞれ3.2倍)に達しました。
このように社会インフラの急激な変化に伴い、それを受け入れる「北陸の街」も変化をし始めております。"


開催概要にも書かれている通り、金沢は新幹線開通により明らかな変化を始めました。それに対して顕在化してくる様々な課題に対して取り組んでみようというハッカソンです。

開催までのコーディネートと当日のメンターをさせていただく中で、MAの自由なものづくりの面白さに触れることができました。

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当日は、開発するみんなの楽しい表情を見ているうちにメンター三人も我慢できなくなり、急遽、夕方から開発、翌日の発表までにhueとCode for Kanazawaの5374を連携させた"5374hue"のプロトタイプを完成させました(笑)僕はフロントエンド担当でしたが、仕事では一切コードを書かないので久しぶりのコーディングでした(笑)
ただ、それがすごく楽しかったのを覚えています。

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このチームはその後も仕事の合間をぬって開発を続けます。さらには、色で知らせるhueを使うより電話でお知らせできるTwillioと連携させた方がより便利だと言う結論になり、"5374phone"を完成させました。
これは、その年の金沢市アプリコンテストにも応募し、見事、市長奨励賞をいただいたしだい。おっさんばかりのチームが出したのに賞までいただいてしまって、本当にすみません(笑)

○当時の5374phoneのプレゼン資料
https://www.kanazawa-air.com/wp-content/uploads/2016/01/5374phone%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E8%B3%87%E6%96%99.pdf

MAを石川で開催するだけでなく、自分自身も、MAとものづくりに嵌まってしまった2015年でした。

シビックテックとものづくり精神の関係


とても楽しかったこともあって、2016年2017年と三年連続でハッカソンを金沢で開催させていただきました。

ここ数年の僕の興味は「シビックテック」にあります。シビックテックは”市民自身が自分たちの望む社会を実現するためのテクノロジー"を指していて、少し大げさに言えば、社会の仕組み、文化や生活を変えることのできるものだと僕は考えています。

三年間やってみたことで、シビックテックのプレイヤーはMAに参加することで多くのことが学べそうだと分かってきました。その逆も然りで、MAに参加する人たちの多くはシビックテックも楽しめるんじゃないかと。

なぜ、そう感じているのか、以下に簡単に箇条書きで記したいと思います。


  1. 自分が欲しいものを自分で作るDIY精神
  2. MAでは作りたいものを作ります。作りたいものは人によって違いますが、誰も作りたくないものは作りません。

    シビックテックも似ています。「これ便利でしょう?」と言われてどんなに高機能なアプリを提供されても、それが欲しいものでなければ全くいりません。オープンデータのデータから発想して作られるアプリによくあるあるです。

    だから、シビックテックでは「私たちにはこういうのがあったら嬉しい」というニーズから出発します(ニーズを掘り起こすのはもちろん簡単ではありません)。そして、そこで大事なのは「じゃあ、それを人に作ってもらうのではなく、自分たちで作ろうよ」という精神です。
    DIY化する市民と言えるかもしれません。シビックテックに関わる人たちは(実際にプログラムを作るかどうかは別として)、ゴールとなるプロダクトを自らの手で創ろうとしている人たちばかりです。これがうまくできたチームはとっても強いです。

    そして、MAの参加者なら「そんなことなら、こういうのでできるんじゃない?」なんてすぐに出てきそうですね。両者が接すると、とても楽しい化学変化が起きそうです。

  3. テクノロジーはどんどん民主化している
  4. ITを含めたテクノロジーは間違いなく市民に力を与えるために進歩しています。例えば、活版印刷というテクノロジーは市民に書物を与えましたし、インターネットは市民一人一人に情報を受発信する力を与えました。

    また、特別な人しか操れなかったテクノロジーは、できるだけ誰もが使いこなせるようになってきています。例えば、昔、コンピュータは「司祭」と言われるような一部の専門的なオペレータしか触ることができませんでした。その後、パソコンが登場し、今ではスマートフォンという小型の高性能コンピュータを誰もが持ち、多くの人が使いこなしています。

    さらに、そのコンピュータをコントロールするための仕組みも変わってきました。専門的なプログラマしか創り出すことのできなかったプログラムから、パラメータを設定して論理的なフローを創るだけで3Dゲームが創れるような時代になってきています。

    シビックテックに参加する非エンジニアの人たちもこうした世界を知ることで、自分でも手を動かして今よりプロダクトを創る部分に参加できるかもしれません。
    そして、MAのハンズオンイベントはそういうプレイヤーを創り出す助けになりそうです。

1はMAに参加するような人たちがシビックテックの世界に歩み寄る一歩に、2はシビックテックの特に非エンジニアの人たちがものづくりの世界に歩み寄る一歩として考えています。
実際、MAの作品の多くにシビックテック的な要素を感じる昨今、両者はまったく違うように見えて、コインの表裏のように共通のコンセプトを持っているのかもしれませんね。

シビックテックがMAと出会って恋をすると、とてつもない面白いモノが生まれそうな気がするのは僕だけでしょうか?

MA初心者にも関わらず、勝手なことを色々と書いてしまってすみません。
また、この件について多くの方とディスカッションできたら幸いです。



著者プロフィール:福島健一郎(@kenchif
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CivicWave運営メンバーの一人。
一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa) 代表理事、アイパブリッシング株式会社 代表取締役
Code for Kanazawaが開発した5374(ゴミナシ).jpは100都市以上に展開。