ODIオープンデータランキングでも2年連続世界1位を取得し、シビックテック団体g0v(ガブゼロ)も活躍する、名実ともにアジアにおけるシビックテックの中心地、台湾。今年5月には日本と台湾で人材やデータ応用に関する交流を促進させるため、日本のオープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)と台湾のオープンデータ聯盟が覚書も締結しました。その台湾で来る9月第3週11日(月)−16日(土)にシビックテック・フェスト2017が開催されます。
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開催場所は台北国際会議センター。アジアを中心とした世界中のシビックテックムーブメントに関わる人達、政府関係者、シビックテック企業だけではなくオープンソース団体など多数の参加者が見込まれます。また、EUにおけるシビックテックの代表的な団体MySocietyが主催するカンファレンスTICTeCのアジア版TICTeC@Taipeiおよび第21回 世界情報技術産業会議も併催です。主催は台湾のオープンソースコミュニティ、開放文化基金會(The Open Culture Foundation)です。

このシビックテックフェスト2017に日本からも有志で参加してみようという計画が進んでいます。
そこで、ここでは日本ではまだあまり情報が出ていないシビックテック・フェストのご紹介をさせていただき、ついでに一緒に参加する仲間を募集したいと思っています。日本国内のシビックテックキーパーソン達と、シビックテックの歴史が作られる瞬間を目撃しましょう!

FB内に情報提供目的でイベントも立ててありますので、興味のある方は参加もしくは興味ありをクリックしてみてください。

【シビックテック・フェストって何?】

”シビックテック・フェスト”はアジア初、シビックテックに関わること全てをパックした一大フェスティバルです。
日本でもCIVIC TECH FORUMCode for Japan Summit、各地域でのシビックテックイベントなどが開催されていますが、これらをすべて集めて一週間ぶっ通しでやるというメガイベントなのです。数々の講演会やワークショップ、井戸端会議やカンファレンス、そしてハッカソンまでオープンデータやオープンガバメントに関わること全てが行われます。同時にMySocietyが主催するカンファレンスTICTeCのアジア版TICTeC@Taipei(シビックテックのインパクトカンファレンス)も11/12日に併催です。

【なんで台湾?】

日本に住む人にとっては、近くて親近感のわく台湾。台湾というと美味しい中華料理やお茶などが楽しめる観光地ですね。また、ITな人達にとってはPCやスマホなどの一大生産地というイメージをお持ちかもしれません。
でも、実は台湾はシビックテックという視点で見るとアジアの中心と言える場所なのです。政府予算の透明化を目的として始まったシビックテック団体g0vはとてもアクティブで、GitHubのフォローグラフなどで見ても、アジアを代表した勢力である事がわかります。中国本土との複雑な政治的関係やアメリカ型民主主義の採用、若い国であることなど様々な理由があると考えられますが、シビックテックという面から見てとても先進的な場所であることは間違いありません。
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(Visualization by Stefan Baack's blog entry)

【参加すべき理由】

オープンデータやオープンガバメントというムーブメントに沿いながら、シビックテック・ムーブメントが始まって、かなりの時間が経過しました。(Code for America設立が2009年、g0vが2012年、Code for Japanは2013年)純粋に理想を求めていた初期から今は現実からの数々の学びを得て、着実にシビックテックを進めていく段階に入ったと考えます。
台湾においても先代行政院長(日本の総理にあたる)張善政さん(元Googler)が強力におし進めたオープンデータ政策が結実し、現行政院長である林全さんのもとでは史上最年少35歳で行政院デジタル大臣としてg0v所属だった天才オードリー・タンさんが就任しました。オードリーさんはPDIS(Public Democracy Innovation and Serivce)という仕組を構築し、閣僚と直接チャットできたり、会議の3D録画を公開したり、機械学習による国民全員参加型の課題解決を実践しています。
現実に即しながらも、同時にイノベーションで最先端を走る台湾のシビックテック、そして台湾に集う世界中のシビックテックを見ないで、これからのシビックテックは語れないと思います。

【スピーカー】
基調講演のスピーカーをざっとご紹介します。

オードリー・タン 台湾デジタル大臣、g0v。Alpha Geeks、12歳からPerlプログラミングを学び、14歳で中学校を中退、インターネット起業家としても19歳で既にシリコンバレーで会社運営。Haskellをわずかな期間でマスターしPerl6コンパイラ&インタプリタを実装しPugsとして公開。CPANにも多大な貢献。現在は内閣の一員としてPDISを運営。

チア・リアン カオ g0v共同創設者、開放文化基金會理事。g0vの顔と言っても過言ではありません。世界中のシビックテックコミュニティを飛びまわっており、先日はパリでg0v Newsを創設。

レベッカ・ランブル MySocietyリサーチ長。EUを代表するシビックテック組織mySocietyのリサーチ部門長として、mySocietyにおける開発や研究方針を定めている。シビックテックでの講演多数。政治行政学の博士号を持ち、シビックテックの理論面をささえる

ジェマ・ハンフリーズ mySocietyのイベント・コミュニティ担当。世界中に広がるシビックテックコミュニティの運営。また、mySocietyが運用する情報公開を促進するプラットフォームAlaveteliのマネージャーでもあります。

ルーク・ベーコン オープンオーストラリアのデザイナー。また、移民の入管勾留記録を公開するDetention Logsの共同創設者

マイケル・カナレ(ミコ) インドネシアのオープンデータラボ・ジャカルタ運営。Web Foundationのアジア地域リサーチマネージャー。

ナンジラ・サンブリ Web Foundation のデジタル衡平担当マネージャ。デジタルツールやWebへの平等なアクセスを全ての人達に確保する活動をしています。ナイロビ出身

マサシ・ニシハラ カナダ・トロント大学シチズンラボの研究者。チャットツールなどインターネットにおける政府の監視、フィルタリングについて研究している。

スティーブン・キング オミダイア・ネットワークパートナー、MySociety理事。市民参画とメディアの関係を研究し、より良い世界づくりをミッションとしている。前職BBCメディアアクションでは世界40カ国以上で組織づくりに貢献した。ロンドン在住

【開催情報】
日時 2017年9月11日(月)9時 〜 16日(土)18時
(会期中は出入り自由。TICTeCは会期中前期11日12日です)
会場 台北国際会議センター 台北市信義区信義路5段1号
最寄駅 MRT 台北101/世貿駅

チケット   
     宿泊付早期割引価格(6月30日まで) 18600台湾ドル(約6万9千円)
     (早期割引チケットは朝食付シングル4泊付)
     宿泊付通常価格  27900台湾ドル(約10万3000円)
     宿泊無通常価格  18600台湾ドル(約6万9千円)

チケット購入はこちらから

【まとめ】
ざっと、9月に台湾で開催されるシビックテックフェストについてご紹介させていただきましたが、いかがでしょうか?日本国内でもますます盛り上がるシビックテックの機運ですが、世界中の最先端の人達とつながり、最新の情報を得られる機会は得難いものだと思います。
少し、コストはかかるものの是非、参加について検討してみてください。シビックテックに関心のある方にとっては、明らかに価格以上の価値があるイベントだと思います。FBイベントで参加を表明された方は、参加当日にグループで行動できると思うので、多少、英語などに不安があっても大丈夫だと思います。何と言っても、日本も台湾もアジアの一員ですから。
また、何か質問等がある場合は、FBイベントにコメント投稿いただければ適宜、回答させていただけると思います。
(注意:筆者はシビックテックの1ファンでシビックテックウィーク主催者とは関係はありません。参加にあたっての航空券・宿泊・チケット手配は各自で行っていただくことになります。)

━━蛇足━━━━━━

チケット情報をご確認いただくとわかると思うのですが、参加する場合は6月30日までの早期割引でチケットを購入するのが圧倒的に有利です。早期割引だと4泊分の宿泊が無料でついてきます。ホテルに同宿する人達はシビックテックフェスト参加者ですから、ここでもネットワーキングできるはずです。どっぷりと台湾シビックテックにつかりましょう。

こちらのFacebookグループに参加いただけるとイベント作成時に告知します。
 →CivicWaveコミュニティ(Facebookグループ)
  ※CivicWaveの読者やイベントに参加した方による相互コミュニケーションの場



著者プロフィール:柴田重臣
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ネットワークエンジニア。Code for Ibaraki メンバー、CIVIC TECH FORUM 2016運営委員長。Code for Japan設立時にリサーチチームとして参加。米国CfA summmit, Personal democracy forumや台湾 g0v summit へ参加するなど海外シビックテック事例についても研究している。Code for IbarakiメンバーとしてシビックテックカフェやCoderDojo Mitoなどいくつかのプロジェクトに携わっている。