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従来型のボランティアなど人的リソースを活用した見守りに限界が来ている

見守り対象(子ども+高齢者)は増え続ける一方で、見守りの担い手は減り続けています。そんな現状を踏まえ、従来型の見守りには限界がきており、これからの見守りサービスが必要だと訴えます。
テクノロジーを活用し、地域の「みんなで」見守る事により低コスト化を実現。見守りの担い手が減少する現代の見守りサービスのあり方について、「見守りは、町全体に導入し、多くの住民が参加していくことが必要(山本氏)」と提案します。


セッションの背景

CIVICTECHFORUM2016」の「テクノロジーを活用したシビックテックの最前線」のセッションは、筆者でもある私(伴野)がコンテンツチェアを担当しました。多くの方に新しいテクノロジーを活用したシビックテックビジネスの可能性と今の課題を感じてもらいたい!と企画し、新しいテクノロジーやサービスモデルをシビックテックの現場で実践しているプレイヤーよりショウケースとして3名の方にお話いただきました。

今回の記事は、株式会社ottaの山本 文和氏の「ビーコンを使った街での見守りサービス」の事例になります。

増加する子どもを対象とした犯罪と、減少する見守りの担い手

冒頭ではサービスに取り組む背景を2つの課題の説明とともにしていただきました。
子どもを対象とした誘拐、殺害などの物騒な時代になってきており、2013年に子どもを対象とした犯罪は23,000件、子どもの数は減少しているが、被害件数は増加しており、中でも放課後の道路上で発生す割合が多いです。放課後の子どもの行動を把握して、いち早く対応することが求められています。
一方、見守り対象(子ども+高齢者)は増加、見守りの担い手は減少しています。従来型のボランティアなど人的リソースを活用した見守りに限界が来ているのでは?子どもの見守りに積極的に参加できない、そんな家庭も増えています。(山本氏)


現代社会が抱える課題を、山本氏は導入維持コストをIT技術により削減した見守りサービスで解決を目指します。


Ottaとは

Ottaは常時電波を出している防犯ブザー付きの専用の見守り端末。
固定の基地局端末、スマートフォン(専用アプリ)により見守り人となり、子どもが持つ専用端末の電波をキャッチしてそれを記録していくことで位置情報を捕捉していきます。
家庭用基地局が増えれば増えるほど、見守り人が増えれば増えるほど、地域の防犯力が高まります。Wi-FiネットワークとIoTを活用した低コストの見守りシステムです。
従来型の人的リソースによるやり方には限界が来ています。ITを利用して見守りの負担を軽減し、これからの見守りサービスが必要だと考えます(山本氏)


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見守りは、町全体に導入し、多くの住民が参加していくことが必要

現在広島、福岡、千葉県市川市などで実証実験を開始。学校、通学路の道路上に基地局を設置して行動を把握しているとのこと。また、実証実験を通じ家庭に設定したいというニーズも出てきたそうです。
(子どもが)家に帰ってきたら、働くママに子どもの帰宅を通知する機能も検討しており、友達宅でも導入されれば、新しい地域の見守りインフラとなる可能性を訴えていました。

また、実証実験で見えた課題についてもお話いただきました。
見守り人が増えていないので、位置の精度が低いという問題があります。やはり、1校単位の導入では見守り人は増えません(200名程度の子どもとその保護者などといった少人数)。課題解決のためには町全体に導入し、多くの住民が参加していくことが必要だと感じています(山本氏)

これらを踏まえ、大阪箕面市で11000人を対象に見守り端末を配布し、1500箇所の見守り箇所を展開する実証実験を進めているとのこと。街全体で見守るということを具現化する準備に入ってきていると今後の展開を紹介してくれました。
見守りびと、見守り基地局を経由し、見守る人が増えていくことで、地域の見守り力がアップ。
みんなで見守り、日常の異変を児童で検出、パトロールに反映させるなどすることによって、地域の犯罪を減少させる事も可能。安心して笑顔で暮らせる世界つくりを目指していきたい。(山本氏)

と最後に結んでくれました。

本セッションは山本氏の他にも以下2名の方が登壇されました。
・鯉渕 美穂氏 MIKAWAYA21株式会社 代表取締役社長 「ドローン宅配
・前田 諭志氏 株式会社デザイニウム 代表取締役「SORACOMを利用した除雪車位置情報把握システム


グラフィックレコーディング


こちらの講演のグラレコです。

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講演動画


山本氏の講演は36:45〜になります。