CoBvqsfUkAATCO7

「市民が単にそこの地域に住む住民から、街づくりのパートナーへ変わること」を目指す千葉市

千葉市は、オープンガバメント活動として、情報を共有する「オープンデータ」の動きとともに、市民が参画するための「ちばレポ」の存在をとても重要視しています。
CIVICTECHFORUM@東海」のシビックテック実践編として、千葉市の松島隆一氏に「ちばレポ」についてお話いただいた内容をレポートにしました。

「ちばレポ」は、街の課題をレポートしてもらうだけでなく、市民と一緒に課題解決をするために「サポーター活動」という取り組みをしていたり、市が投げかけたテーマに沿ったレポートをしてもらう「テーマレポート」という機能を追加するなど、進化を続けています。
それらの進化過程に、「ちばレポ」を使って、市民の方が「街を知り」→「街を好きになり」→「街に参加する」ことで、一緒に街づくりをしていきたいという姿勢を強く感じました。

今回は、「ちばレポ」の進化過程の話とともに、
 ー類似サービスにはない「ちばレポの特徴」
 ーちばレポの登録数や利用数といった数字
など、お話いただいた内容が盛り沢山だったため、1つの記事として切り出し、まとめました。


ちばレポの歩み

2013年のインターナショナルオープンデータデイ(IODD)に参加し、FixMyStreetJapanを利用したイベントが「ちばレポ」の始まりです。
最初は予算がなく開発に困っていましたが、マイクロソフトさんの支援で開発が進み、2ヶ月半でβ版のリリースを実現、2013年7月から半年間、実証実験を行いました。千葉市として、はじめてアジャイル開発をしたサービスとのことです。
実証実験の結果を受け、2013年12月に予算化。2014年9月から本格的な運用を開始し、今も継続しており、新しい機能なども追加されています。


千葉市のオープンガバメント活動の一つである「ちばレポ」

ちばレポは、市民と行政をつなぐ新たなコミュニケーションツールで、以下の3つの役割を担っています。
 〇毀韻塙埓の新しいチャネルを提供:市民から街の課題をレポートを投稿してもらい行政が対応
 ∋毀韻塙埓の協働の機会を創出:市民協働による課題解決や社会参加、貢献の機会創出
 9埓運営の効率化を実現:電話やFAXによる通報や道路維持管理DB(資材管理など)との一括管理
41

※出典:発表資料より

昨今、行政の取り巻く環境は変化し、「行政が全て対応する」ということではなく、「市民によって支えられる街づくり」が重要になっています。そのためには、
 ー市民の参画が不可欠であり、行政と同じ情報を市民に持ってもらう必要がある
と千葉市は考えています。そこで、市民が単にそこの地域に住む住民から、街づくりのパートナーへと変わることを目指す一つの施策として「ちばレポ」を開発したそうです。

千葉市は、オープンガバメント活動として、情報を共有する「オープンデータ」の動きとともに、市民が参画するための「ちばレポ」の存在をとても重要視しています。
こちらの市長からのメッセージ動画でもその点を発信しています。



類似サービスにはない「ちばレポ」の特徴

繰り返しになりますが、千葉市は「市民が単にそこの地域に住む住民から、街づくりのパートナーへ変わること」を目指しています。ちばレポは、「自分が住む街への意識や行動を引き出すこと」を目的に作られており、上にある資料の”分「市民からのレポート機能」に留まっていないということが、類似サービスとの一番の差別化と語ります。

特徴の1つ目は、集めた投稿を全て行政がやるのではなく、整理して、市民で解決できるものは市民に任せるところです。△了毀蔚働という動きを設計段階から意識して開発され、現在、サポーター活動を通して積極的に運用しています。
サポーター活動とは、緊急性の低い課題に対して、一緒に解決してくれるサポーター(市民)を募り、課題解決をしていく活動です。この動きは、課題を解決するだけでなく、市民の社会参加や貢献の機会創出にもなっています。
17 17

※出典:発表資料より

2つ目の特徴は、道路維持管理DBとの一括管理など、既存の業務との最適化も図り、でいわれている行政運営の効率化を実現しているところです。

この「∋毀韻塙埓の協働の機会」と「9埓運営の効率化」の役割が、ちばレポの大きな特徴といえます。


ちばレポに関する様々な数字

ちばレポに関する様々な数字(2016年6月末時点)もシェアいただきました。
 ・登録者:3,875人(一度でもレポートしたことがる人:20.9%)
 ・年代:30代・40代が約78%
 ・男女比:男性8割、女性2割
 ・累計レポート件数:3,289件
 ・利用時間帯:通勤とランチ時が多い(写真を撮りためて後でレポートする人:57.9%)
 ・レポート投稿から完了までの時間:49.3%は1週間/62.7%は2週間/72.7%は1ヶ月以内に完了

レポート経験がある人は811人(登録者の20.9%)。より多くの人に投稿してもらう施策として、「テーマレポート」という、市が投げかけたテーマに沿ったレポートをしてもらう機能を追加しています。
具体的な例をあげると、「カーブミラーのさびを点検しよう!」といったテーマなどです。このテーマでの投稿は、7/1から募集をはじめ、7/31までで1,117件を超えたレポートが集まったそうです。

また、想定外だった利用の仕方は、その場で投稿するのではなく、写真を撮りためて後でレポートする人が多いということ(57.9%)。これは利用者層が30・40代のサラリーマン男性が多いことが起因しているようです。
市政未参加層といわれているこの層の利用が多いことは、新しいチャネルとしての役割を担えている事の証明となっています。
(※各種数字はイベント時に発表されたものではなく、最新のものをいただき記事に反映しております)


進化を続ける「ちばレポ」

今年の3月には、ちばレポの公開レポートのデータをオープンデータ化するなど、「永遠のβ版」とうたっている「ちばレポ」の進化は続きます。
現在、のアセットマネジメントのさらなる高度化にチャレンジしており、決算データ、道路台帳データ、様々なプローブデータなどともクロスさせようと画策しています。
そして、街路灯のデータなど、自治体で把握出来ていないデータを市民と一緒に作っていくことや、UIに優れたアプリなどを期待してのAPI公開も議論されています。

その他にも、こんな動きがあるそうです。
・東京大学とのAIを使った共同研究プロジェクト
 └ドライブレコーダ等を利用し、投稿なくても課題レポートを自動的に上げる実験など
・「ちばレポ」コンソーシアム設立準備
 └関係している大学や、関係したい都市の方たちと次期「ちばレポ」にどんな機能が必要か?を話し合う場

自治体の開発するアプリは、多額の税金を利用して作った割には、多くの市民に利用されるものにはなっていない印象があります。しかし、ちばレポは「自分が住む街への意識や行動を引き出すこと」をゴールに作られているからこそ、作られたあともその目的のために試行錯誤を続け、進化を続けている気がします。

リリースして終わりではなく、進化を続ける「ちばレポ」は今後も注目です。

写真 2016-07-23 15 30 15
 グラレコ by 松井大さん


ちばレポに関しては、東京で行われた「CIVICTECHFORUM2016」でもお話いただいたので、こちらの記事も参照ください。
 →肝付町の限界集落でのIT活用と、ちばレポでの市民協働の挑戦!「CTF2016」



著者プロフィール:鈴木まなみ(@rin2tree
10917872_810999818947686_4210908168556890190_n
CivicWave運営メンバーの一人。
2歩先の未来をよむブログメディア「TheWave」の湯川塾の事務局を務め、テクノロジーの最新動向をウォッチしながら、コミュニティ運営や執筆活動中。
また、MashupAwards8〜11の事務局を務め、内外のコミュニケーション全般を担当。