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シビックテックらしい思いには、年齢も経験も関係ない!

日本国内には営利非営利問わず、様々なシビックテック団体が、それぞれ本当に様々な活動を繰り広げております。
ただ、その活動の性質故になかなか他の地域などに伝わる機会が少ないのが現状です。

他の地域の活動を知ることは、自分達の活動の参考になることもありますし、自分達と似た動きをした団体があったら話してみたい!っと思うかもしれません。

本エントリーは筆者が折にふれてお話を伺うシビックテック団体の活動を、ブログ形式で紹介をさせて頂く1つめとして公開をさせて頂きます。


学生主体運営のCode for Hakodate

Code for Hakodateは2014年8月30日設立の非営利任意団体として活動を開始。
当時まだ中学生であった杉本 涼さんが、バスなどの公共交通に関する不満から始めたとのこと。
その後IODD2015の函館開催をきっかけに集まったメンバー(現代表の工藤 卓也さんなど)が設立したCode for DONANと合流し今の形となったようです。

何と言ってもCode for Hakodateの特徴は、創立者、現代表などコアメンバーが学生であるといった点。これは日本のCode forやシビックテック団体としては珍しいように思えます。

とはいえ、その活動は多岐にわたります。

・オープンデータの推進(行程への連携)
・Pecily(公共交通APIプロジェクト)→後述
・Wikipediaタウン
IODD (InternationalOpenDataDay)
FUNHACK(シビックテック ハッカソン)
Hakodate Hack Night(CivicHackNight) 
RESAS勉強会  

6/15(水)にはCode for Hakodate初のCivicHackNight「Hakodate Hack NightVol01」を開催予定とのこと。

などなど、活動領域を広げているCode for Hakodate。
詳しくは、2015年のCivic Tech Advent Calendar 2015 にエントリーされている、当時の代表杉本さんのブログを参照ください。
Code for Hakodate の長~い 2015年 を振り返る

これらのように設立後約1年強と比較的まだ短いながらも活動を広げ、且つFacebookページなどを多用しながら積極的に情報発信を行っている点が印象的です。
また、イベント後にはアンケートを取り、結果をGoogleDocsで公開するなどオープンでフレンドリーな点が学生らしさを感じ、好感が持てました。
自分達の情報をオープンにする、オープンマインドは市民との距離を縮める点でも有益だと考えられますが、すべての団体で出来ているコトではありません。


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 定例のミーティング様子(Code for HakodateのFacebookページより)

今の課題感などを伺ってみると、現代表工藤さんなどが今年大学院2年生であり卒業が近いため、後進の体制を如何に整えるのかといったところや、市民や地域の関係者を如何に巻き込んでいくかといったところのようです。

是非お近くにお寄りの際はお声がけをし、オープンマインドあふれるCode for Hakodateを訪ねていただければと思います。


起業家甲子園2015にて最優秀賞 公共交通機関データAPI・自作モジュール「Pecily」


現在主要なプロジェクトのひとつとして取り組んでいる「Pecily」は、Code for Hakodateとして参加をした「平成27年度起業家甲子園」にて優勝した実績を持ちまます。

「Pecily」では時刻表・路線・運賃・停留所名・運行情報などの公共交通に関するデータを独自に収集、整形し「WebAPI」として提供することで、第三者が公共交通機関のデータを使ったアプリケーションなどを開発できるという、データプラットフォームの開発を目指しているようです。

また、運行情報は独自に開発したRaspberry Piを活用した位置情報捕捉モジュールを活用。
実証実験的にバスに取り付け運行をし、検証をされたようです。
(※参照:「Pecily」のプレゼンテーション資料

現在はCode for Hakodateの設立者でもある杉本さんを中心に、データの収集や交通機関との交渉などを進め、まずは函館市内の公共交通機関におけるデータプラットフォーム化を目指しているとのこと。

少し横道にそれますが、「Pecily」のような公共交通機関のオープンデータは国内外で活用が増え始めており、代表的なものはロンドン交通局の「Open Data Users」が挙げられます。

「Open Data Users」にはさまざまなデータがAPIやCSVファイルなどの形で掲載され、バス停の位置や時刻表、リアルタイムの位置情報だけではなく、ライブカメラ画像なども含まれています。
(※参照:「Open Data Users」のAPIを活用して作られたサービス 「Live London Underground map(イギリス ロンドン地下鉄のリアルタイム運行情報)」)

GOV.UK上に公開されているPublic Sector Information「Shakespeare Review(P21)」上では、このようなロンドン市交通局のリアルタイムデータの経済効果の試算として £15Billion〜58Billion(約22億円〜87億円)として報告されており、その可能性と必要性が認識されております。

国内では鯖江市の「つつじバス」などが「つつじバスロケーションWEB API」を公開するなど取り組みを進めております。
また、世界の交通機関系のWEBAPIは世界最大のAPIディレクトリサイト「ProgramableWeb」にて検索をすることができます。

有識者の間では、公共交通機関のオープンデータは、事業者が多数あり、なかなかハードルが高いといわれています。しかし、そういった常識にとらわれず、不満を解消するために自分で作るという行動力は、若さゆえの強みだとも感じます。
大人では躊躇してしまうようなアクションができるのが学生の強み。他のCode forとは違う道から、新しい事例が生まれることを期待しています。

●参考資料
2014 TRON Symposium Session公共交通オープンデータ
公共交通オープンデータの現在 ロンドン編 @niyalist



Codefor Hakodate情報
 HP:https://codeforhakodate.org/
 Facebookページ:https://www.facebook.com/code4hakodate
 Twitter:https://twitter.com/codeforhakodate
 Github:https://github.com/codeforhakodate



━━蛇足━━━━━━
Code for Hakodate現代表の工藤さんとコアメンバーの1人である兵藤さんは、様々なハッカソンにも参加をし賞を獲得している所謂「ハッカソン常連」。先日札幌で行われた、SPAJAM2016札幌予選でもキッチリ他のメンバーと共に優勝しています。

このように実力もあり様々な受賞歴を持つ2人に、Code for Hakodateに取り組む思いを聞いてみたところ(ラーメンを食べながら)、そこにはぼんやりとした郷土愛がありました。
卒業し東京などで働くことがあっても北の地域に携わりたい貢献したい、というある種の地域とのゆるい関係性を話してくれました。それは必ずしも函館という地域に限定されなく、広い北海道という地に対してのアイデンティティと感じました。

今地域における大学の課題のひとつとして、学生の卒業後にその地域から巣立ってしまい戻ってこない、という事が言われています。
Code for Hakodateのように、学生時代に少なからず地域について触れて活動をしてみることで「ゆるい関係性」を持ち続ける事ができるのでは無いでしょうか。

シビックテック活動は大人になって、家庭や家をもって初めて重要性を気づくという話をよく耳にしますし、実際に携わっている方もそれぐらいの年代の方が多く集まる傾向にあります。
ただ、だからこそ、若いの方には少し敷居が高いと感じるのか、学生主体の団体というのは他にはあまり聞いたことがありません。
Code for Hakodateのみなさんが教えてくれたのは、自分たちの課題感は自分たちで解決する、というシビックテックらしい思いには、年齢も経験も関係無いということです。

この記事をお読みになられた学生の方!まずは行動を起こすところからはじめてみませんか?


※先日開催された函館のシビックテックハッカソン「FUNHACK」 の審査員として主催のCode for Hakodateの方にお会いしたのがきっかけで本エントリーを書いております。