26118568465_4a3d1ec2d0_z


課題を持つ側と、解決手段を持つ側が協働しやすい環境にある会津

除雪車の位置情報把握を、ITを活用して効率化している事例は会津だけではありません。今回の会津の事例のすばらしいところは、大きな自治体などですでに導入されているようなシステムを、シビックテックらしいサービスに落とし込み、地元の企業が実現したところにあると思っています。

シビックテックらしいサービスとは、「シンプルでローコストで、オープンなプラットフォームを使い、誰でも作れるサービス」と、登壇された前田氏は言っています。

今回の事例は、テクノロジーの進化だけで実現できたことではないと思います。課題を持つ側と解決手段を持つ側が協働しやすい環境にある会津だからこそ実現できたのではないかと考えます。

新しいテクノロジーの活用事例というだけでなく、シビックテックのエコシステムの視点としても、今回の話はとても興味深い内容でした。

セッションの背景

CIVICTECHFORUM2016」の「テクノロジーを活用したシビックテックの最前線」のセッションは、筆者でもある私(伴野)がコンテンツチェアを担当しました。多くの方に新しいテクノロジーを活用したシビックテックビジネスの可能性と今の課題を感じてもらいたい!と企画し、新しいテクノロジーやサービスモデルをシビックテックの現場で実践しているプレイヤーよりショウケースとして3名の方にお話いただきました。

今回の記事は、株式会社デザイニウムの前田諭志氏の「SORACOMを利用した除雪車位置情報把握システム」の事例になります。


除雪車の位置情報把握をITで効率的に

豪雪地帯の会津では欠かせない除雪車による除雪作業。とはいえ全ての地域を一度に作業はできません。市民の方からは周辺の区域に除雪車がいつ作業するのか、というのはとても重要な問題になります。

「今までは除雪車がどこにいるかの問い合わせを電話でオペレーターが受け、確認し折り返し電話をしていたが、除雪作業車の位置情報をオンラインでマッピングし、問い合わせを受ければすぐに回答ができる仕組みにした(前田氏)」

SORACOMの仕組みは、SIMがクラウドのAPI経由でコントロールできることが特徴。システム構成は以下の通り。詳しくはこちらのデザイニウムのブログを御覧ください。
DSC_9086

今回の事例は道路維持管理業務を県から受託して運営をしている組合、宮下地区建設協同組合という土木建設関係の組合との協働の取り組み。
組合では事業者数、社員数も減っている中で除雪業務などを行うオペレーターも高齢化が進み、このままでは維持管理業務ができなくなるという危機感を持っており、そこからの相談が今回の取り組みへとつながったようです。

「機能面では似たようなシステムもあるが大きな街向け、予算額も大きく、山間地域や周辺部にいくとこのようなシステムはいれられない。SORACOMやOpenStreetMapなどのオープンなツールを利用することでスピード感をもって、コストを考慮して出来た。(前田氏)」

このような取り組みが会津地域内で課題と解決方法が有機的に結びつき展開していったのは、会津地域が持つシビックテックの土壌ならではかもしれません。
オープンカフェ会津などの取り組みから、課題を持つ側と解決手段を持つ側が協働しやすい環境があるのが会津の特色です。

会津の取り組みに関しては以下の2つのエントリーもご参考ください。
ローカルにおけるシビックテックの哲学「CTF2016」【鈴木まなみ】
ローカルタクシー問題と自分で作れるハザードマップに挑む!「CTF2016」【鈴木まなみ】


シビックテックらしいサービスの特徴とプロセス

続いて地域課題解決型ビジネスを展開する経験より、シビックテックらしいサービスの特徴とプロセスにも触れて頂きました。

<シビックテックサービスの特徴>
・シンプル コストやスピードを考慮して必要な機能のみ
・ローコスト:小規模自治体や必要な人に使ってもらえる範囲で提供
・オープン:なるべくオープンなプラットフォームを採用。コミュニティの力、シンプルに誰でも作れる
・スケーラブル:拡張性がある。端末や利用者が増えてもコストがかさまない、他の地域などに展開しやすい
今回の除雪車位置把握システムは市民に一般公開するとしてもそこまでコストが変わらないように設計されているとのことでした。

<シビックテックビジネスプロセス>
・イシュードリブン
実現方法や採用する技術はあとから考える。コンセプトを崩さない。課題ありきで、どのように解決するか、が重要。
・共創的開発プロセス
課題が共有されている。協力や共感が得やすい。とにかく最低限の事ができれば良い

一方、課題としてはそんなに儲からなそうであることをあげ、継続性のためにビジネス的な視点は不可欠だと強く訴え、以下の言葉で講演を締められました。

「最初はコミュニティとしていろいろなアプリを作ってきた。会社としての関わりを考えると、最終的にどのようにビジネスにしていくのかに尽きる。いろいろな領域の地域の課題に対してサービスを作ってぶつけていく。地元企業団体、大学、コミュニティとの連携でモデルを作っていきたい。(前田氏)」


本セッションは前田氏の他にも、以下2名の方に登壇いただきました。
・鯉渕 美穂氏 MIKAWAYA21株式会社 代表取締役社長 「ドローン宅配
・山本 文和氏 株式会社otta 代表取締役社長「ビーコンを使った街での見守りサービス

グラフィックレコーディング


こちらの講演のグラレコです。
DSC_0142 DSC_0144
DSC_0160

講演動画


前田さんの講演は19:20〜になります。