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誰に頼まれているのではなく、自分たちのほしいというものをつくっている

Code for Kanazawaが継続して活動し続けている理由について、代表理事でもある福島氏はこんなふうに語っていました。
「誰に頼まれているのではなく、自分たちの欲しいというものを作っている。この気持が必ず必要で、そういったアツイモチベーションに動かされてエンジニアも協力しているし、プロジェクトが継続されている気がします。そして、そういった気持でアプリが作られると、宣伝しなくても利用してくれる人がいます。それは、自分たちが欲しいものを作っているからです。のとノットアローンというアプリは、奥能登の人たちがほしくて作ったアプリなのでとても地元の人達に注目されています。シビックテックってそうあるべきですよね?そうすると、うまく続いていく気がしています(福島氏)」

そして、今回のパネルディスカッションを聞いて感じたことは、すべてのプレイヤーがCode for Kanazawaのために何かをしているのではなく、自分達がしたいことを軸に、Code for Kanazawaと一緒に活動しているということ。特に金沢市職員の「支援しているつもりはない」という言い切りには痺れました。


セッションの背景


CIVICTECHFORUM2016」のローカルセッションの一つである「まるごと金沢市 ローカルにおけるシビックテックの役割」は、以下5名によるパネルディスカッションでした。
・中沢実氏:脳波で車椅子を操作する研究をしている金沢工業大学教授
・小浦むつみ氏:北陸初のNPOバンク「ピースバンクいしかわ」の代表理事
・山上幸美氏:みらい子育てネット石川地域活動連絡協議会の理事
・松田俊司氏:金沢市役所情報政策課ICT推進室室長(現:金沢市役所情報政策課課長)
・福島健一郎氏:Code for Kanazawa代表理事/モデレータ
このセッションの目的を、セッションチェアでもある福島氏は以下のように語ってくれました。
「"市民参画で地域課題をICTを用いて解決する”、その活動を続けていくことは意外に簡単ではありません。地域とどう関わっていくのか?ICTに距離がある方々にどう説明し関与してもらうか?満足な金銭的対価が得られない中で活動するメンバーはどうモチベーションを維持し続けるのか?石川県で活動するシビックテック団体「一般社団法人コード・フォー・カナザワ(Code for Kanazawa)」が活動して三年間の経験と得られた知を共有できればと思っています(福島氏)」


なぜCode for Kanazawaと一緒に活動しているのか?


今回登壇していた様々なプレイヤー(行政、NPO、大学、街づくり)の方々が、シビックテック団体であるCode for Kanazawaと一緒に活動している理由や、得た成果などが語られました。

最初の質問は、日本で初めてのCodefor団体であるCode for Kanazawaを、設立当時から支えている金沢市役所情報政策課ICT推進室室長(現:金沢市役所情報政策課課長)の松田氏への質問です。

Q:事例もないCode for Kanazawaになぜ支援してくれたんですか?(福島氏)
福島さんがやりたいといってきたことは、行政はやっていないわけではなく、やっっていることなんです。ただ、借金だらけでお金がないのが実情です。その中でできることは限られていて、その狭間をITの力を使ってできるのであれば嬉しいなと思いました。
また、他の理事の人ともいろんなつながりもありますが、知り合いになるにつれ、人柄の良さも伝わってきました。雰囲気は柔和なんですが、意志が強く、信頼できる人だなと。自治体にとって信頼できる人というのはとても重要です。
Code for Kanazawa自体には実績はありませんでしたが、上司に説明する際には、Code for Americaの実績を説明して説得しました。金沢の市長はIT好きというのも助かりました。(松田氏)

そして、ハイライトはここです!!
福島さんからは”何故支援してくれたんですか?”という質問でしたが、支援しているつもりはないです。金沢市としてもやりたいことをやっており、たまたま同じ目的なだけです。目的が違うことを提案されれば断るし、それはCode for Kanazawa側も同じだと思います。それを言い合える関係というのがいいなと思っています。(松田氏)

それをうけ、福島氏も「そういわれると、それを感じてる」とコメント。「支援」という言葉は、実は上下関係があるんですよね。そうではなく、一緒にやっているという協働の関係が垣間見れた、すごくいい(ほっこりした)発言だと思いました。
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次の質問は、地元の多くのママと接し、多くの課題保有者でもある、みらい子育てネットの山上氏への質問です。山上氏とCode for Kanazawaとの出会いは、山上氏がCode for KanazawaのFacebookページに会いたいとコンタクトをとったところから始まったそうです。

Q:どうしてCode for Kanazawaにコンタクトを取ろうとしたんですか?(福島氏)
ITの力で課題を解決してくれる団体があるから見てみて!といわれ、それはお願いしたいと思って連絡しました。連絡したら返事がすぐきて...。自分だと何話していいかわからなかったので複数で会いに行きました。何してくれるのかわからず、ニーズ調査に来るのかな?と思ったので、課題があったらあげといてねっとお母さんたちに伝えていたんですが、会ってみたら、課題解決するのは自分達だといわれて、こりゃ大変になるかもって思いました。そして、会ってみて、信頼できると思ったので一緒にやっています。(山上氏)

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山上氏はCode for Kanazawaが何かをしてくれる団体とおもってコンタクトしたとのこと。その雰囲気を感じた福島氏は、「Code for Kanazawaのメンバーとなり、1つのプロジェクトとなるのであれば協力しますが、課題解決するのはあなた達ですよ。」と伝えたそうです。

時々、Code for Kanazawaをボランティアで何でもやってくれる団体だとおもってコンタクトをとり、自分たちでやらなければいけないとわかると「めんどくさい」と離れていく団体などもあるそうです。
ただ、山上氏はめんどくさいとおもわず、Code for Kanazawaのメンバーとなり、自分達の欲しいものを一緒に作り上げ、子育て応援ウェブアプリ「のとノットアローン」という成果物を生み出しました。
このように出来たアプリに関して、
みんなが欲しいと思ったものを作ったので、使ってもらえないイメージがわかないです(福島氏)

そんな風に思えるアプリを生み出せるのは、素晴らしいですね。
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次の質問は、市民が自発的に出資した資金により融資しているNPOバンク・ピースバンクいしかわの小浦氏への質問です。小浦氏は、相談者にクラウドファンディグの紹介もしているとのことで、Code for Kanazawaとは県内NPOにシビックテックの要素をどう入れていこうか相談しながら、一緒に活動しているそうです。

Q:シビックテックみたいなコミュニティに支援というのはできるものなのでしょうか?
ピースバンクが融資する際には、どんな資源をもっているのかを見ます。例えば山上さんの場合は、彼女が動くと奥能登のママがうごくというのはものすごい人脈資源です。そういった人間関係を担保に、お貸ししているところもあります。ローカルは、知り合いの知り合いはだいたい知り合いで、ちょっと周りに聞くとその人のことはすぐ分かります。(小浦氏)


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松田氏からも山上氏からも「信頼」という言葉がでたように、「信頼」は活動が継続される際のとても重要な役割であり、かつローカルにおいては資源となり、融資につながる可能性もあります。Code for Kanazawaの「行政や民間の影響を受けない中立・公益な立場で活動する。民間ができることはできるだけ民間に任せる。Code for Kanazawaでしかできないことにこだわる。」いうポリシーに基づく行動は、各プレイヤーからの信頼を得ている一つの要因となっている気もします。

CodeforKanazawaのポリシーについてはこちらに詳しい記事があるので参照ください。
 ⇒非営利団体におけるCIVICTECHとは


各プレイヤーが期待していること


まずは大学側として、中沢氏にシビックテック団体に期待していることの質問です。

Q:シビックテック団体が大学と一緒に活動する際に、期待することはありますか?(福島氏)
大学の中でやっていることは、悪く言うと応用がありません。中で学べないことがCode for Kanazawaで学べることは多いと思っています。
社会で何が必要なのか?などを学んできてもらい、それを大学に持ち帰って先生に聞いてくれるのはとてもいい勉強だと思っています。強制はしていませんが、できたら参加してねと学生に伝えています。
また、教育の場で、アプリの公開レベルまで教えるのは難しいと思っています。Code for Kanazawaであれば、アプリを公開している人もいると思いますし、そういった実践部分に関して教えてもらえると、大学としても嬉しいです。(中沢氏)

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すべてのプレイヤーがCode for Kanazawaのために何かをしているのではなく、自分達がしたいことを軸に、Code for Kanazawaを活動の場として活用し、一緒に活動しているのを感じます。

また、他のプレイヤーがシビックテック団体やITに期待することもご紹介します。

●金沢市職員の松田氏
行政は、資金が限られスピードも出しづらい状況のため、シビックテック団体が、規模に関わらず、役に立つことをスピード感もってやってくれることに期待しています。また、市役所主催のイベントなどにも参加してもらって、直接市民と接する場にも来てくれたら嬉しいです。(松田氏)

●資金調達をしているの小浦氏
シビックテック団体はニーズを汲み取る力があるからこそ、お金を生み出すことができるはずです。お金を生み出すには、誰にどんなニーズがあって、何が困っているのか?がわかってないとできません。そしてそれをどんな風に見せたら手にとってもらいやすいのか?も考えることのできるシビックテックの人たちは素晴らしいセンスをお持ちだと思います。(小浦氏)

●街づくりをしている山上氏
ITは人を介してプレゼントを贈り合えるものであるということに気付きました。自分が大切にしていたアナログな人間関係に、ITが関わってきたことでつながりが増え、今までできなかったコミュニティ作りができると思いました。(山上氏)。

そして、Code for Kanazawaの代表理事でもあり、今回のパネルディスカッションのモデレータも務めた福島氏は、シビックテックのあるべき姿に関して、こんなふうに語っていました。
Code for Kanazawaは設立当初から中立の立場を保ちたいと意識してきました。なぜかというと、多様性が重要と考え、多様性を持ちたいためです。多様性が集まってくると、山上さんのように、課題を持っている人もたくさん出てきます。そんな課題保有者と一緒に何かを作り出していくと、誰かに頼まれているわけではなく、自分達が欲しいものを作っているので自然とプロジェクトは継続されます。そういった気持でアプリが作られると、宣伝しなくても利用してくれる人がいます。それは、自分たちが欲しいものを作っているからです。シビックテックってそうあるべきですよね?(福島氏)

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Code for Kanazawaは地域におけるシビックテックのプラットホームを目指しているそうです。様々なプレイヤーとの信頼関係を築きながら、着実にその道を歩んでいることがわかるパネルディスカッションでした。


グラフィックレコーディング


こちらの講演のグラレコです。
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講演動画


ご興味をもってくださった方は、記事にしきれなかった部分もありますので、是非講演もご覧ください。