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誰かの権利、どこが儲ける、そんなものと関係なく、自分たちが地域に必要とするものに集中

3/27(日)に開催されたCIVICTECH FORUM2016は、とても良いイベントでした。僕自身も”まるごと金沢市”という最後のセッションをチェアとして担当させて頂き、自身も登壇してお話させてもらいました。ただ、5人が話すのにちょっと1時間では足りないところもありましたので、その続きという形で僕なりのシビックテック観を何回かに分けて書かせて頂こうと思います。

今回はCode for Kanazawaがなぜ組織的な体制作りを行っていて、どうしてそれがうまくいくと思っているかを伝えきれてないとおもったので、書いてみました。

この後は、プロジェクト制という仕組みの話、多様性を保つことの意義の話、自治体との関係性の話、リーダー論などを書いていこうと思っています。


非営利団体の存在意義は、公や民間が取り組めない地域問題を取り組むこと


まず、本質的なところからです。Code for コミュニティのような非営利団体が取り組むシビックテックって何なのでしょう。企業が取り組むシビックテックとは異なってくるはずです。
僕が2012年にCode for Americaの活動を知り、およそ一年の準備期間を経た後、9人でCode for Kanazawaを立ち上げたのは2013年5月でした。日本で初めてのCode for コミュニティであり、日本でこういう取り組みが認知されるのか分からないまま、手探りで始めます。
このとき、僕が気をつけたのは「シビックテックコミュニティであるCode for Kanazawaは何のために地域に存在しているのか」です。わざわざ大変な思いをして立ち上げるんですから、そこにはしっかりとした理念がないと意味がありません。
僕の答えは「Code for Kanazawaは、地域に存在する様々な課題をテクノロジーで解決するためにある。特に、その課題はこれまで地域に存在する公や民(企業)が解決できない領域こそ解決しなくてはならない」というものでした。
地域の課題全てを公が解決できればいいんですが全てを解決することは難しく、民間企業は最終的に利益を出せなければ取り組むことすらできない、そういう課題が地域にはいっぱいあります。非営利団体はそういう課題に取り組むからこそ存在意義があるのではないでしょうか。


ポリシーがあるから自由に活動していても、中立の枠からはみ出ない


そして、それを具現化するための重要な指針が、Code for Kanazawaのポリシーです。
ポリシーは僕らCode for Kanazawaを律するものとして常に頭の中にあります。
不自由になるかなぁと最初は思っていましたが、最近はポリシーがあるから自由なのではないかと感じています。
地域に暮らしていればみんな何かの立場に立っています。でも、Code for Kanazawaは地域で中立(ニュートラル)な立場で、公益のために存在しています。だからこそ、みんなが参加できる土壌ができ、制約を受けない活動を行えます。誰かの権利、どこが儲ける、そんなものと関係なく自分たちが地域に必要とするものに集中して取り組めるんです。

ミッション・ポジション・権利・資金という4つの側面で定義されているこのポリシーは僕が立ち上げのメンバーを集めるときから存在し、今も残っています。その4つの側面において詳しく説明したいと思います。

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ミッションでは、「自分たちでコードを書く」ということを明言しています。シビックテックコミュニティにとって技術を自分たちでコントロールできることは、とても重要ではないかと考えているからです。例えば、コード(プログラム)を書けないコミュニティはどんなに良いアプリのアイデアを思いついても残念ながら最終的な成果物を創ることができません。お金で解決できるなら最初からそうしていればいいはずなので、自分たちでコードを書けないというのはそれだけ課題解決への道が遠くなるか、コードが不要な範囲だけの解決になります。ソフトウェアだけがシビックテックではありませんが、ソフトウェアだからこそ解決できるシビックテックもあるのです。だから、僕らの存在理由のためにも自分たちがコードを書けるということは、とても重要なことでした。

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ポジションは、Code for Kanazawaの特徴をはっきり示している部分です。中立・公益な立場で活動して、民間ができるところは民間に任せ、僕らしかできないことをやる。特に、民間企業がやれるところに手を出さないということは大事にしています。お金をしっかり稼げるところは民間企業がしっかりやればいいことで、Code for コミュニティのようなシビックテックコミュニティがわざわざ立ち入るべきではありません。せっかく地域のためにやろうと思っているのに、地域のプレイヤーの一つである地元企業と競合しても仕方がないからです。中立(ニュートラル)であるというのはそういうことだと考えています。また、中立の立場に立つことで、Code for Kanazawaは必然的に多様性を持ちやすくなります。どこにも偏ってないからこそ、「テクノロジーで地域課題を解決する」というミッションのもと、様々な人が協力し合えるのです。

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権利では、アプリ等の成果物の著作権等の権利を(一社)コード・フォー・カナザワに帰属するというものです。これはCode for Kanazawaに属する開発者たちが何らかの事情で止めた場合も、継続して開発に取り組めるようにするためです。シビックテックでは継続性が大事だと思っているため、こういうポリシーを早期から入れさせて頂きました。これで、一般の法人企業のように永続性を持って、地域課題解決のためのサービス創りに取り組んでいけます。

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最後の資金は、とても大事なところです。企業がシビックテックに取り組む場合はもちろんですが、たとえ非営利目的であるシビックテックコミュニティであってもお金を稼いでいけないわけではないと考えています。大事なのは、理念のためにお金を稼ぎ、稼いだお金を理念のために投資できているだと思っています。但し、Code for Kanazawaでは中立の立場を保つ以上、地元企業と競合にならないかという点で必然的にお金を稼ぐ事業については慎重になります。地域という狭い領域を扱いながら、資金をどう調達していくかは今後も大きな課題です。


日本の様々な地域課題を解決できるのは、各地域に根ざしたコミュニティ


こういう考えのシビックテックコミュニティが日本で最初に石川県の金沢市という一地方で生まれたのは偶然ではないと思っています。地方に住んでいればみんな何かの立場に寄っているところがあって、しかも多くの人と顔見知りという関係性の中で生きています。そんな中では、地域の全てのプレイヤーと仲良くやらねばいけないという発想はとても大事です。そして、おそらく金沢に限らず他の地域でもそうではないでしょうか。
日本の様々な地域課題を解決できるとしたら、それは各地域に根ざしたこうしたコミュニティがそれぞれの地域課題を解決していくのではないかと思います。